午前1時のレモネード

翌朝の化粧ノリより、夜更かしの楽しさが大事。

人間23年目のくせに、既に人生のエピローグな気分な件

 

昔から、良くも悪くも物事を客観的に捉えすぎる癖のある子どもだった。

小中学生時代の身近ないじめも、中高生時代の周囲の色恋沙汰もそうだった。

他人事どころか「小説だったら実はこういうことだよな」だの「漫画だったらこれが悪化フラグで、こう動くのが正解だよな」だの、どこかの物語のように捉えていた。

 

自分が関わる恋愛でさえ「うわーなんかフラグが立ったなー」とか「これはこの後こういう展開になるやつだ、知ってる」と、漫画を読むように思っていた。

実際わりとそうなっていたから、それに不都合を感じたこともなかった。

何なら、「小説や漫画を通して中高生という学生時代を予習できていたようなものだから、読書はなるほど役に立つな」などと思っていた。

 

そんなどこかの物語を読むように生きてきた人生だけど、私はここに来て、どうやら自分の人生とか言う物語に興味をなくしてしまったようなのだ。

 

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ここまでの私は、それなりによく動く登場人物だったと思う。

選ぶべきルートが見えていたとしても、現実世界ではそちらへ進むには受身ではいられない。文武両道容姿端麗なヒーローに選ばれるのを夢見るヒロインなんて、現実ではスイーツ(笑)なんて切り捨てられておしまいだ。

だから自分なりに理想のストーリーに近付くように、自分のエピソードを動かし動いてきたつもりだ。

 

だけどここに来てふと気付いた。元の自分の興味の範囲まで読み終えてしまった私は、どうやらもうこの物語の続きに大して興味がない

もちろんこの物語のことはとても気に入っていて愛しく思っているし、何度も読み返したい。けれど別に続編なんて書かずに終わってくれていてよかったのに、という気持ちだ。

 

例えるなら、高校生の恋愛ものの少女漫画があったとする。高校3年間、学校行事や部活動に彩られた日々の中ですれ違ったりぶつかり合ったりして、周囲を巻き込みながらもなんだかんだで両思いになったふたり。

そんな恋愛マンガの「その後」を、あなたはどれだけ読みたいだろうか。いつまで、どこまで読みたいだろうか

 

私は主要人物のカップリングが成立した時点でわりと熱が冷める。その後は蛇足、よく言ってもエピローグだと思っている。

そもそも単純に、人のイチャつきぶりなんて興味はないし、学校を出て社会人になってしまえば波乱万丈な恋愛などあまりしていられない。自然とそこには穏やかな話しか生まれなくなるだろう。

私は今、そんな何も起きなくなった凪いだストーリーを生きている感覚なのだ。

 

 

この感覚は物語ではなくゲーム、RPGに例えてもいい。

もう私は、ゲームの登場人物たちに愛着を持ってしまっている。キャラクターごと全消しになってしまうのは絶対に嫌だ。だから今さらこのストーリーをリセットはできない。

 

だけどセーブ地点のないこのストーリーは、セーブ地点から再開も最初からやり直しも効かない。ただただ、延々とエピローグをプレイしていくしかない。

見知ったマップ、英雄になってしまったから迂闊には出られない故郷、そんな中でもう新しい冒険は始まらないのに。こんなつまらないゲームを、いつまで続ければいいのだろう。

 

 

私の物語のあらすじは、今まで「私が楽しく爽やかでそこそこ幸福な青春を送り、充実した学生時代を過ごしながらそれなりに勤勉に生きて、そこそこ悪くない会社に勤める社会人になるまで」だった。

このあらすじだと、もう物語は完結してしまっている。第2章は別に望んでいない。それなのに、なぜか終わらせてもらえない。

 

別に私は、少女漫画やライトノベルよろしく、学生時代だけがフォーカスされるストーリーでよかったのだ。

卒業してからしばらくのことは「〜何年後〜」のテロップですっ飛ばされて、気付いたら幸せな家庭を築いていました、そしてこのキャラクターたちの物語は次世代へ…くらいで全然構わなかった。

それなのに、その特に興味のない「〜何年後〜」の部分に今はずっといて、スキップも早送りもできない。

 

 

私はどうやったら、この物語にまた興味を持てるのだろう。次世代の物語が始まるまで待つしかないのだろうか。

もしくは俗に言うサザエさん時空を生きることができれば幸せなんだろうか。もういっそ、永遠に高校時代を繰り返す、そんな時空に入り込めないだろうか。

 

全くもって、現況をどう動かしていくか考えもつかない。興味も湧かない。もしかして、これが作家の方々で言うスランプというやつなのだろうか。

筆を投げ出したくても折るわけにいかない作家の皆様に、どうか教えてほしい。

薄めて薄めて引き伸ばしていかなければいけない連載を、どう続けていけばいいのか。

 

 

とりあえず、あからさまに回収するべきフラグでも立てればいいのだろうか。

「突然の退職——?!」とか「まさかのプロポーズ——!!」とか。ないなあ。

そんな無理矢理にフラグを立てなくとも、勝手にイベントが供給されるから学生時代は楽しかったんだよなと、今ならわかる。それは分かるけど、新しいイベントとフラグの供給法が思い付かない。

 

だから私はどうやら、自分の人生なんて作品すら書き上げられない作家にしかなれないみたいだ。