午前1時のレモネード

翌朝の化粧ノリより、夜更かしの楽しさが大事。

そういえば私、もう女子高生じゃないんだった

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久しぶりに、自分が高校生をしている夢を見た。

現役高校生だった頃から、大学時代もそして今になっても、制服を着た自分がどこかの教室にいるのは定期的に見る夢ではある。

私にとって目覚めた後にも「ああ訳も分からないけどなんだか楽しかったなぁ」と思える夢は、今も大体がこの自分が高校生をしている夢だ。

気分的に楽しいのは確かだけど、あまりに他の夢では気分が弾まないので「私ってまだ制服の幻想に囚われてんのかなぁ」とちょっと悲しくもなる夢でもある。

 

おかしいのは、リアルとフィクションが中途半端にミックスされた映像と体験ができることだ。

中学校時代の校舎を高校の同級生たちと駆け回っていたり、もはや母校ですらなく模試で行ったどこかの私立高校の教室に、中学校の友人と高校の同級生と後輩とがごちゃ混ぜで座っていたり。

外観は私の知っている学校なのだけど、内装はどこかのドラマで見た映像だったりもはや迷宮だったり病院が混じっていたりする。

あとはだいたい行き止まりがなくて、外に出ない限り水平方向には無限に広がる亜空間になっている。でも別にホラー感はない。

まあ夢なんて自分が脳内で作り出すものなので、知っているものが混じるのは当たり前のことなのだけど、中途半端なリアルさがアンバランスでおかしい。

 

 

なんてくすりと笑ってしまって現実に戻る。本当に、冷静に考えれば「女の子が高校生になる」だけで突然に価値が高騰するなんておかしいと思っていたのにな。なんでこんなに囚われているのか。

女子大生になったら、ただ制服を脱ぐだけでその価値は暴落するとでも言うのかと思っていたのに。

それらは半分正解で、半分不正解だった。

女子高生が女子大生になったからといって、価値は暴落するわけではない。

ただ、10台後半に差し掛かって女性として魅力ある存在になりつつあるけれど、条例とか家庭とか色んなものに守られていてなかなか誰も手を出せないギリギリの「天然記念物のような存在」だから尊重される。のだろうな、と思う。

大学進学率が高まっているとはいえ、人数的には女子大生の方が少ないはずなのに女子高生の方が希少価値が高い扱いなのはそういうことだろう。

 

こうして世間の需要を冷静に考えたりしてみるけれど、個人的には単純に女の子という存在の華やかさと「高校生が一番青春っぽい」という刷り込みがあるからだろうな、と思う。

中学生よりは行動力も判断力もあるし、学区の縛りもなくなり校則の縛りも緩くなる(ことが多い)。見た目も大人になる。それでいてまだ、大多数の人は家庭に守られている。

大学生と違って専門分野どころか文理もまだ定まっていなくて、一応は何にでもなれる可能性が残されている。

あとは部活の存在だろうか。大学に入るとなかなかリズム感のある生活が難しくなって続けられる人が少なくなるから、いわゆるガチで部活をするのは高校が最後ということも多くて、部活に青春を賭けている人も多い。

 

そんな高校生、特に「女子高生」という存在。

自分だっていつか通る道だし、卒業してしまえば憧れもすっぱり消えるんだろうと思っていた。

思っていたのに、大学に入って以降は、眩しさというまた別の視点から憧れに似た気持ちを持て余すようになってしまった。

おかしいな、私だって少し前まであの子たちと同じ立場だったはずなのに、どうしてあの子たちはあんなにキラキラして可愛い生き物に見えるんだろう。

戻りたい。あの数年以内には確実に終わる脆い世界で、それでもその世界が全てだって信じ切って夢見ていられたキラキラした目を取り戻したい。

まだ3年くらいしか経ってないし。その気になれば戻れたりしないかな、いいなー戻りたいな。

 

そんな風に考えながら、いつの間にか卒業してから7年目がやって来ていた。

私はどんどん制服が似合わなくなっていくし、制服を着ている子たちはどんどん幼く見えてくる。

数年前までは大学生と似たり寄ったりに見えていたのに明らかに違うし、何なら中学生と見分けがつかなくなってきた。

そんなことを考えながら、帰宅途中の学生でごった返す夕方の街を歩く。

あぁあの制服可愛いなぁ、あんなオシャレな制服地元にはなかったもんな。セーラー服もやっぱり一回着てみたかったな、制服で学校決めてみたかったな。なんて懲りずに考えながら眺めた、前を歩いていく女子高生のスカートが、夏の夕焼けに透けて揺れてはっとする。

 

そうだった、夏服のスカートって透けるんだよね。

日に当たると透ける、そんな通気性のいい生地だったね。夏服と冬服でスカートも素材が違うなんてこともすっかり忘れていた。

今の私はもう、可愛い制服の着こなしがきっとできない。スカートのウエストからうまくシャツを弛ませられないし、靴下をうまくクシュっとさせるとかもできない。そもそも流行りの靴下丈も違った。

現役の「女子高生」たちが当たり前に知っていてこなしていることを、忘れたり知らなくなっている私は、もうどう考えても女子高生には戻れない。例えフリでだって絶対に戻れない。

 

卒業した時点でそんなことは分かり切っていた当たり前のことだ。当たり前なんだけど、それでも「気持ちはいつまでも17歳」とかぬかしていたからまだいけるような気がしていた。

そうだ、違うな、私はもう女子高生じゃないんだった。

家に帰っても誰も待っていなくて、生活用品も朝の準備も食事も何もかも自分で用意して生きていかないといけない大人になっちゃったんだった。

私のスカートはもう夏の日差しには透けない。風が吹いても揺れない。そもそも毎日パンツスタイルで通勤するし、駅をダッシュできるローファーやスニーカーも履いていない。

でももうこの無難なOLファッションが今の私の最適解で、今の私の最高武装だ。鳴らす足音はもう彼女たちと丸きり違うけど、これで明日からも歩いていく。