午前1時のレモネード

翌朝の化粧ノリより、夜更かしの楽しさが大事。

小話

『君と見た夢が終わる夢を見たよ』

今が思い出に変わった頃、例えば10年後くらいに、17歳の頃を思い出した時こんな気持ちになるのかな。 そう思いながら聴いていた曲だということを、夕暮れの街を歩きながら、シャッフル機能でイヤホンから流れてきた10年後の夏に思い出した。 たぶん別に何か…

夏のあかるい浴室の匂いについて

実家の浴室から、昔好きだった人の部屋の匂いがした。 春が終わる頃の夜、湯気混じりに嗅いだ匂いだったけれど、なぜか夏の昼間、がらんどうな空間に透明な陽光が差すあかるい浴室を思い出す、たぶん浴槽洗剤の匂いだった。 匂いの記憶は五感の中でも強いと…

雨の夜の散歩は透明ビニール傘が粋なのです

信号を3つ渡れば5分で地下鉄の駅。あの頃の私に話したら、なんて曲の歌詞だっけとでも返ってきそうだなと思った。透明なビニール傘に弾けて滲んでいく、6月の雨の夜の街を、隣駅まで向かう信号待ちにみていた。 腕にふれる風は蒸し暑くもなく肌寒くもなく、…

NPCの台詞みたいに「結婚しないの?」「子ども欲しいと思わないの?」って言ってくれちゃってさ

就業規則だの法律だのは俺たちに優しくないからって疑うくせに、自分の未来には結婚と子育てがあると信じて疑わないの、なんで?って私も聞いていいかなぁ。 数ヶ月ぶりに会う、結婚式終わりの男友達たちは、私たちの共通の同期である新郎に当てられたように…

まっすぐ進もうとするほど、捻くれてると言われる僕らは

わざわざ主張することでもないけど、嘘を吐くのも面倒だから。結婚を考えるようないいひとはいないの、と聞かれると、私は結婚したくないんです、と言う。 要らぬ波を立てていることは分かるけど、妙齢の女性なら当たり前に守備範囲だという顔で息をするよう…

生地と生家を愛するように、家族を愛せればよかった

実家を出てもうすぐ7年、懺悔のように願っていることがある。 家族のことを、家族だという事実だけで愛せればよかった。愛せる人になりたかった。 高校を卒業して大学に進学する18の春まで、生まれ育った街は好きだ。そこで通った学校も、出会った友人や先輩…

夢女子の才能がないので恋愛は向いてませんって話

つまるところ、たぶん私だって、橋本環奈ちゃんとかガッキー似の美女とかに生まれたら、恋愛ストーリーの主役を張る自分を許せたんや。 でも実際は、この世界を生きている自分というアバターが大して好きじゃない。 でくの坊な喪女でしかない自己を投影した…

元気ですか、私は最近生きるのがちょびっと楽しいよ。

「大人になってから1年が早くなったね」なんて、学生の頃は絶対言うもんかと思っていたテンプレートでつまんない台詞が、口に馴染んでしまってからもう何年経っただろう。 社会に出ることがイコール大人だと思っていたあの頃、大人になって仕舞えば、働き出…

「いい女」として恋されるより、「いい奴」として認めてほしい。

タイトルが結論なんだけれど。 これが私の人生のスタンスで、人間関係において恋愛はゼロベースから始められるものではない。最低限、人として「いい人」だと自分が思えて尊敬できて、異性としてどうかは抜きにしてまず「いい奴」と人間性を評価してくれてる…

オタク文化への浸かり方レベルと、海の楽しみ方についての一考察

まずオタクと海という切り口から、深海魚とか貝とか、海の生き物で例えろよと思った方には申し訳ない。 水族館に行くのは大好きなものの、海の生き物の生態に詳しいというほどではないので止めました。と予め表明しておく。 秋の夜長に、「オタク沼とはよく…

「思い出になんてすると、星になって輝くから」

君の願いが どうか 粉々に砕けますように きれいな思い出になんてすると 空にのぼって いつまでも星みたいに輝くから ハチミツとクローバー / 野宮匠 私の大好きな漫画の、大好きで大嫌いな台詞だ。 初めて読んだ中学生だった頃には、思い出が輝いちゃダメな…

確かに残るどころか居座って消えないサウダージ。

他言語では翻訳できない言葉、というやつが好きだ。他の言語や文化圏では、該当する概念・言葉が存在していない異国の言葉。日本語だと「木漏れ日」なんかがそうらしい。 それに出会うことは、日本語でもたまにある「身に覚えのある感情だけど、言語化ができ…

あの頃夢みてた場所に半分だけ辿り着いてみた話。

生まれた街で暮らしていた高校生までの頃、私には可愛すぎて可哀想になりそうなちっぽけな夢があった。 ベタな田舎者の憧れすぎて恥ずかしいそれは「駅と無印良品とスタバが徒歩圏内にある場所に住む」。 なぜってその頃の私にとって、都会の象徴は無印良品…

申し訳ありませんは魔法の言葉じゃない

まだ頭が働かない月曜、朝9時前。 「だからさ、さっきから『〜かと』だの『おそらく〜』だとか、なんで断言しないわけ?」 「その言い方ってさ、ウチにも非がある『かもしれない』ってことだよね?あなたの言い方ってそういうことになるよね?」 「御託はい…

すぐ隣のパラレルワールドを、忘れない

数週間の有給消化に入って、気付いたことがある。 社会人になってからの私はめっきり「平日の昼間」の世の中のことを忘れていた。 朝出勤して、帰る時間になって気付けば日が暮れているから、この季節は何時まで明るいとか何時から涼しくなるとかそんなこと…

離れてみたら、話がしたくて放したくなくなった手がありました。

「あんた達、夜の散歩に行きなさい」 と、妹のiPhoneのスピーカーから聞こえてきたのは母の声だった。 最近ダイエットに勤しんでいる母と妹は、ここのところよく二人で夜のウォーキングに出かけているらしい。 それを今日は私が付き添い役で、私の住む街でも…

お世話になってるコンビニの、店員のお姉さんへ。届け、この思い。

私の最寄り駅のすぐ近くには、某100円コンビニがある。 元から100円の商品ばかりなのに、時々さらに割引もされているので、私は仕事帰りにそのコンビニでよく朝食を買う。 頻度にして2〜3日に1度だから、最低でも週に2回くらいは行く。 それで常連と呼べるの…