理解より共感より、私たちに名前をください。
帯に短し襷に長し、じゃないけれど。
マイノリティを名乗れるほど多数派ではないし、マジョリティぶるにはよくある話すぎる。こと恋愛とか結婚だとかの話において、だ。
私は性的マイノリティではないけれど、たぶん性役割においてはマイノリティだ。というか、何にも分類されたくない。
子どもだと言ってしまえばそれまでだけど、誰かの妻になれる気がしない。というかむしろ積極的に、なりたくないとさえ思う。親になんてなれるとも思わない。こんな自分に育てられるくらいなら初めから生命として宿らない方が幸せだとすら思う。
そんな人間が結婚適齢期の男性と付き合うのも申し訳ないので、恋愛からも距離を置きたくなっている。
でもだからと言って、男性に混ざってバリバリ働きたいわけでもない。男性のようになりたいとも、なれるとも思っていない。どう足掻いたってまだ男女の社会進出に差がある現状で、同じようになれるとまで夢見られるほど幸せな思考回路にはできていない。
女性であることに抵抗を覚えたことは、ない。
続きを読む「思い出になんてすると、星になって輝くから」
君の願いが どうか 粉々に砕けますように
きれいな思い出になんてすると 空にのぼって いつまでも星みたいに輝くから
ハチミツとクローバー / 野宮匠
私の大好きな漫画の、大好きで大嫌いな台詞だ。
初めて読んだ中学生だった頃には、思い出が輝いちゃダメな意味が分からなかった。
願いが砕ければいいなんて言い回しが「ひどい」としか思えなかった。
だけど、あれから10年経った最近。やっとこの発言の意味が分かってきた。
私にも「これからも、いつまでも自分の中で輝いてしまうんだろうな」という思い出ができてしまった。すごく大切で、眩しくて愛しくて、思い返すと胸がきゅんとしてどうしようもない思い出だ。
私にとってそれは、中学生から大学時代まで続けた部活の記憶だ。
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そういえば私、もう女子高生じゃないんだった
久しぶりに、自分が高校生をしている夢を見た。
現役高校生だった頃から、大学時代もそして今になっても、制服を着た自分がどこかの教室にいるのは定期的に見る夢ではある。
私にとって目覚めた後にも「ああ訳も分からないけどなんだか楽しかったなぁ」と思える夢は、今も大体がこの自分が高校生をしている夢だ。
気分的に楽しいのは確かだけど、あまりに他の夢では気分が弾まないので「私ってまだ制服の幻想に囚われてんのかなぁ」とちょっと悲しくもなる夢でもある。
おかしいのは、リアルとフィクションが中途半端にミックスされた映像と体験ができることだ。
続きを読む確かに残るどころか居座って消えないサウダージ。
あの頃夢みてた場所に半分だけ辿り着いてみた話。
生まれた街で暮らしていた高校生までの頃、私には可愛すぎて可哀想になりそうなちっぽけな夢があった。
ベタな田舎者の憧れすぎて恥ずかしいそれは「駅と無印良品とスタバが徒歩圏内にある場所に住む」。
なぜってその頃の私にとって、都会の象徴は無印良品とスターバックスだったのだ。置いてあるもの全て、飾り気なくシンプルだけど洗練された雰囲気が都会的だと思っていた。
近くでコーヒーを飲むところなんてコメダ珈琲店くらいだった(好きだけど)。綿矢りさの「蹴りたい背中」で、主人公が無印良品の店内でコーンフレークを試食しまくるシーンが印象的で、なぜかとてもクールだと思っていたのも覚えている。
当時の私が住んでいたところはいかにも田舎というほどではなく、駅までは徒歩30分以上1時間以内くらい。
遊ぶところも買い物に行くところもイオンが定番。コンビニはそこそこある。ファミリーマートにちょっとだけ置いてある無印コーナーが唯一の無印良品との接点。そんなよくある地方都市だった。
続きを読む好きな人たちの思想までも愛したい人生だった
今暮らしている街から地元まで、約100km足らず。電車で片道1時間半ちょっと。遠すぎず、近すぎず、まあちょうどいい距離だと思う。
問題は、私は実家と相性が良くないのに、実家に帰らなければ友人に会えないことだ。
私の交友関係にも問題はあって、元々深く狭く派な上に、地元も大学も今暮らしている場所からほど遠いので近くに友達と呼べる人が全然いない。
だから、友達と遊ぶとなると実家まで遥々帰ることになる(ときどき、今いる街の近くに実家がある大学のサークル仲間たちと会うこともある。ただほとんど異性なので、話が合わない部分がどうしたってある)。
とはいえ私は普段から人と会うと元気が出て充電できるどころか、消耗して疲れるタイプの生き物だ。近くにすぐ会える友達がいないのは、個人的にはそれほど問題でもない。本当に会いたい人にだけたまに会えればいいから、友人の居場所が遠いのは別にいい。
本当の問題はそこじゃない。こんなことを言うのも、反抗期が抜けきらない中学生みたいで本当に嫌なのだけれど。私にとって実家は最大の鬼門だ。
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