『君と見た夢が終わる夢を見たよ』
今が思い出に変わった頃、例えば10年後くらいに、17歳の頃を思い出した時こんな気持ちになるのかな。
そう思いながら聴いていた曲だということを、夕暮れの街を歩きながら、シャッフル機能でイヤホンから流れてきた10年後の夏に思い出した。
たぶん別に何かの主題歌というわけではなくて、思い出のエピソードがあるわけでも、PVに好きな俳優さんが出ているとかでもなくて、そもそもPVを見た記憶もなく、もはやどうして知っているのかさえ記憶が定かじゃない。
自分の好きな曲ベスト盤を作ったら入れるかと言われるとどうだろうという感じで、カラオケで歌うかと聞かれれば歌ったことはない。
けれどふと昼間の青い空に透けて浮かぶ、幸薄そうな細い月を見かけるたびにサビのフレーズを思い出すものだから、iPod nanoからiPhoneに機器が移行してもデータを引き継いで今も手元にあって、時々こうして耳に流れる。
人生における重大な決断をだいたいしないという決断について。
大きな決断が必要なライフイベントって、人生にはいくつか存在する。
若いところからだと受験・進学、その先は就職、人によっては転職も発生する。そのあたりになると結婚というイベントも発生しだす。各イベント発生に伴って引越しイベントも起きることがある。
結婚も挙式をするなら日取り会場招待客と決めることが目白押しだけど、結婚した先はさらに決断が必要なイベントだらけだ。
妻となった人が妊娠すれば出産・育児、そして子どもの受験・進学やマイホームの購入なんかも起きていく。
そして書き出してみて思うけれど、「受験・進学、就職・転職」まで終えた私は、ここから先に発生しがちな全てのライフイベントを起こそうという気が全く起きないのだ。参っちゃうくらいにやる気がねーのだ。
続きを読むまっすぐ進もうとするほど、捻くれてると言われる僕らは
わざわざ主張することでもないけど、嘘を吐くのも面倒だから。結婚を考えるようないいひとはいないの、と聞かれると、私は結婚したくないんです、と言う。
要らぬ波を立てていることは分かるけど、妙齢の女性なら当たり前に守備範囲だという顔で息をするように話を振られるから、私はご期待に添えかねます。と言いたくて。
そう答えるたび現れるのは、そうだよね今はそんな時代だよねと言う理解を示したような言葉と、ああ面倒な捻くれ女に当たったぞ、という顔。あからさまに勿体ないよと説教を始めるひとの方が、まだ分かりやすい。
何だろうなぁ、この空気。
よくあるわけでもないけど何となく既視感のあるこの圧力に、ふと思い出したのは最後の進路選択だった。
20代も後半の女が結婚したくないと言うことは、進学校の生徒が大学受験をしないと言うことに似ている。
続きを読む独りでいたくて、一人ではいたくなくて、痛々しくて
「一人でいるのは平気だけど、孤独なのは苦手だ」と言うひとがいる。
休日に一人でカフェに行ったり買い物に出たりできるけど、その時の話を誰かと共有したい。一人でいるとしても、その時のことをどこかのSNSにアップして繋がっていたい。そんな感じらしい。
私はその逆だ。誰といても、ぽかんと自分だけの思考に逃げ込める孤独な世界にいたい。その孤独さが確保されないのは苦手だ。でも、一人で行動するのはもっと苦手だ。だって怖いから。世の中に馴染みきれていないから、世の中の全てが、漠然と怖い。
自分は世界のルールに馴染めていないような気がする。知らないうちにダサくてみっともないことをしているんじゃないかといつも思っている。いつまで経っても自分はどう足掻いたところでおのぼりさんで、そのくせ見た目だけは都会のOLぶっているからより質が悪いし痛々しい。
たぶん、張りぼてのおのぼりさんよりも、一見地味だけど生粋の都会育ちの子どもの方が、よっぽどスマートに街を泳いでいる。
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